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よんきゅ部屋

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電車で一人旅(四国編その2)

いよいよ2日目。寝不足&ハードスケジュールでかなり不安だったが6時に起床し、朝風呂へ。ホテル10階の露天風呂から見る朝日はとても美しかった。6時過ぎだと朝風呂に入る人も少なく、快適だった。7時、開店と同時にレストランにはいるが、接客はなくすべてセルフサービス。部屋も暗く、食事の楽しみはあまりなかった。出かける準備をしていたら時間がどんどんなくなっていき、結局はタクシーでJR松山駅へ。

8:06発の「いしづち1号」に乗って、まずは宇和島へと行くことに。駅で電車を待つが、1日目にも触れたように、同じホームに2つの列車が止まるようになっているので、どこに並んでいいのか迷った。いちおうそれらしき列に並んでいると、お遍路さんの格好をした同僚の先生のそっくりさんがいるではないか。口ひげと髪がちょっと白く、年配であることを除けば本当にそっくり、まさかお父様ではと思ったほどだ。この話を同僚にメールで思わず伝えてしまった。あまりのバカバカしい内容に笑ったそうだが...。お遍路先生は、通路を隔てて横に座った。さてさて、どこまで道中を共にするのだろうか。

発車後、あまりの眠さにすっかり寝入ってしまう。気がつけば、内子も伊予大洲も越えて、宇和島の5駅ほど手前まで来ていた。目を開けるとびっくり!なんと雪が積もっているではないか!ここは愛媛県、温暖であるはずなのに景色は滋賀県あたりのそれによく似ていた。しかも吹雪だ。これから高知まで山越えが待っている。列車は動くのか!?不安のうちに、9:26宇和島着。次に予土線へ乗り換える。いよいよ四万十川沿いを走る、今回のメインと考えていた時間帯に突入だ。

9:35宇和島発窪川行きの普通に乗る。この列車もたった1両のディーゼルカーで、トイレはない。トイレを済ませ、飲み物を買い込んだ。乗客は7,8人程度で、いかにものんびりしている。ロングシートに寝そべる人もいる。しばらくすると、なんと!お遍路先生も一緒に乗ってくるではないか。しかも私の正面の席にどかっと腰を下ろした。同僚にそのことをメールすると、「さりげなくカメラで撮影してメールで送ってよ」との話。ただ、いきなり撮るとただの盗撮になってしまうのでさすがにやめておく。仲良くなって撮らせてもらおうかとも思ったが、なかなか近づきがたい雰囲気を持っていたのだ。いつまで一緒かななどと思っていることで発車した。

この路線は全然通して走る列車が1日に6本、途中止まりを含めても14本しかない、相当なローカル線である。乗り損ねると2,3時間列車が来ない。しかもトイレがないので途中で降りるわけにも行かない。何とか予定通り高知にたどり着きたかったので、2時間10分トイレを我慢しなければならないと思うと、自分の中では異常な緊張感だった。

北宇和島駅から線路が2つに分かれて、予土線に入る。次の務田駅まではなんと12分もかかる。険しい谷間を川沿いに上っていく。ディーゼルエンジンがうなりまくっているが、時速40キロほどしか出ていない。相当きついのぼりのようだ。

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<雪の予土線。本当に四国?>

次の伊予宮野下でお遍路先生が下車した。この線を乗り通して高知に行くのではと思っていたが、意外な場所での下車だった。この辺りまでくると、谷間を抜け少し広い土地が広がるようになってきた。それなりに家も点在している。それにしても、まだ雪が降っている。桜が少し咲いているのに雪が積もっているというのも珍しい光景だ。しばらく行くと近永駅。宇和島とこの駅との間は乗客もそこそこいるようで、1時間~1時間30分に1本のペースで走っている。

またここでも昨日と同様、線路を横切る4人組の高校生。車内アナウンスも「線路を横切るときは危険ですのでよく確かめてください」という。なんとのんびりしていることか。警報機のない踏切が多いことを考えるとそういうアナウンスもありなのだろう。これは今住んでいる場所では絶対に経験できないことである。そして、いよいよ車窓に四万十川の支流が見えてくる。四万十川に多く架かっている沈下橋(橋が受ける増水した川の水の影響を軽減するためにつくられた欄干のない橋)もある。こちらは本流に比べるとかなり上流で川幅もかなり狭い。

10:42、予土線でやってきて四万十川の観光スポットに最も近い江川崎駅に到着。対向列車を待つために10分停車。乗客のほぼ全員が列車を降り、まずはトイレへ行き、ホームでしばらく新鮮な空気を吸う。運転士もトイレに行っていた。四万十川はカヌーなどの川遊びができるようだし、中流からは何もなければ穏やかに水が流れていくのだろう。本来はそういった遊びをやりたいところだが、今回の目的は列車の旅。一人で乗れもしないカヌーに乗っても仕方がないので、諦める。いずれ家族を連れてきて遊べると楽しいだろうと思う。対向列車がやってきて、信号が変わり次第発車となる。

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<江川崎駅にて。全線中唯一のトイレタイム。全員が列車を降りて中には誰も乗っていない>

次の駅は珍駅名としてよく紹介される「半家」(はげ)。トピックとしては知っていたが、本当に駅名表示板を見るとやっぱりおかしい。このころに快晴となりお日さまピカピカである。偶然だが、できすぎた話になっている。そしてここから先は駅間が長くなり、7~8分ごとしか止まらなくなる。四万十川沿いをずーっと走る。途中トンネルや鉄橋など、見所の多い場所となる。時期によっては貨車を改造した「トロッコ列車」をつないでいる。谷間の川沿いを走る中、風をダイレクトに感じられるのはきっと気持ちがいいのだろうと思う。四万十川はやはり水がきれいだった。ローカル線ののんびりとした美しい光景を満喫しながらしばらく乗るうち、長いトンネルを抜けると土佐くろしお鉄道の線路が合流し、11:45、終着の窪川に到着。2時間10分をかけて予土線を走破した。次は、ゼミの卒業生と昼食をとる約束をしている高知駅へと向かう。

窪川11:55発の「南風16号」に乗る。ここはまだ周遊券のゾーン内であるため、特急は自由席にしか乗れない(指定席だと指定券以外に特急券をさらに買わなければならないので高くなってしまう)のだが、3両編成でうち1.5両分しか自由席がない。しかも禁煙車は0.5両分しかない。私はたばこを吸わないので、喫煙車両はできる限り乗りたくないのだが、禁煙車はすでに満員、仕方がないので喫煙車に座る。禁煙への流れの中で喫煙車の方が席数が多いというのはいかがなものか。たばこを吸う人ですら、「他人の煙は吸いたくないから喫煙車はイヤだ」と言うことだってあるというのに...。また、運悪くどうやらヘビースモーカーに囲まれてしまったようだ。特に前の席のオッサンは乗車していた1時間の間、煙が途切れることがなかった。しかもきついたばこのようで、煙の量も半端ではない。まったく勘弁してほしいものだ。

この区間は地図を見る限り、しばらく太平洋沿いを走るので、美しい景色が拝めるかと思っていたが(このときはすでに快晴)、海岸まで崖が迫っているようで、列車は山の中を走っている。標高が高いところを走っているらしく、遠くにかすかに海が見えるという感じだ。海がしっかり見えたのは須崎付近だけで、それも港だった。瀬戸内海沿いで見えた景色とはかなり違って、ちょっと期待はずれだった。それより何より、煙すぎる!!そこから先は山の中を走り、12:57、高知駅に到着した。

改札口では、前の週に卒業したばかりの卒業生が待っていてくれた。卒業式の日に配属先が高知であることを知らされたのだが、その時に25日は高知にいるのかと尋ねたら、いるとの返事だったので、昼食に誘うとOKしてくれたのだ。16:00の出発まで3時間付き合ってもらうことにする。ここまで一人旅で他人と話すことはほとんどなかったので、旅行を初めて最初の会話である。日頃話すことを仕事としているために、一日以上誰とも話をしないというのはまずないことで、それが新鮮だった。ただ、やはりそろそろ人と話をしたくなってきたころで、まさにこの時間は「渡りに船」となった。

繁華街の中にある土佐料理屋に入る。さすがに2人で皿鉢料理はもったいなかったので、かつおのたたきの入った昼の定食(ちょっと高めのやつ)を注文する。彼は関西を離れたことがなかったので、高知に来ていろいろとカルチャーショックを受けているようだ。また、配属先である店舗の店長が社内でも厳しいことで有名な人であるらしく、かなり緊張しているらしい(今頃、相当鍛えられているのではないだろうか...)。また3月からすでに研修が始まっているらしく、研修時の体験談なども聞かせてもらった。ちょうど1年後にでも会えば、かなりパワーアップした彼を見ることができるだろうと期待する。

昼食後、まだ時間があるので2人で高知城の天守閣にのぼった。高知は快晴、暖かかったが、風はかなり強く、手すりの低い天守閣の上は結構怖かった。しかし、眼下に広がる高知の街を見ていると、確かに殿様気分になる。昔の殿様はさぞかしいい気分だったろう。彼は高知に来てから何となくローな気分だったようだが、天守閣にのぼってかなりスッキリしたらしい。友達が来たらまず最初に連れてくるのはここで決まりだと言っていた。

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<高知城天守閣から市街地を見る。殿様気分とはこのこと?>

高知城をおり、高知駅までゆっくり歩きながら話をする。今回は高知の路面電車にも乗りたかったのだが、それはあきらめて写真だけを撮って帰る。高知駅で両親への土産と子供のためにアンパンマン列車のミニチュアを購入、彼とは再会を約束して別れた。16:00発、四国内での最後の列車「南風22号」に乗り込む。これもアンパンマン列車である。

16:00、定刻通りに発車、隣には土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線の快速が停車していた。この路線については、まだ開通前に友人と高知経由で室戸岬まで遊びに行ったときにはまだ開通するかどうかが見えてこない状態だった。つまり、高架はできているのだが、どうもまだ線路が敷かれていないまま置かれていたようだったのだ。それが後に奈半利まで開通したものである。地方の鉄道路線がどんどん消えていく中で新しく開業したときのニュースにはほっとしたものだった。しばらく走って土佐山田に停車。前の席にいたおそらく女子大生の2人が、駅前のホテルにかかっている垂れ幕を見て「こっちのホテルに泊まっておけばよかったかなあ」と話していた。列車の来る回数を考えると高知でいいのではと勝手に思った。

ここから先は山深くなっていく。16:47、大歩危(おおぼけ)駅に到着。大歩危、小歩危という峡谷が続く場所である。別に大ボケというわけではなく、「大股で歩いても小股で歩いても危ない」ということらしい。なるほど、車内アナウンスも頑張ってつくられているのだ。次に阿波池田に止まり、発車すると次の佃駅を過ぎたところで徳島方面の路線と分かれる。その後列車は大きく左へとカーブし、ほぼU字型に進んでいく。自分の通ってきた線路が反対の窓から見えるのだ。直接最短距離でつなぐことのできるスペースは十分にあるように見えたのだが、なかなか不思議な場所である。

その後また山に入っていくがそこで眠気に負け、zzz。夕日の光線の具合と車内の暖かさがマッチして気持ちいいことこの上ない。気がつくと瀬戸大橋を渡り終える寸前だった。危うく夕暮れの瀬戸内海を見逃すところだった。といっても、本当に寸前だったため、味わうとまではいかず残念。そして、ほとんど満月に近い月が上るのをを見ながら18:27、岡山に到着。今回の旅の最後の列車、18:42「のぞみ28号」に乗り、19:15に新神戸到着。

この2日間、かなりの時間、列車に乗って疲れたが、気分良く無事旅行は終わった。この旅行の後かなりリフレッシュされ、現在は気分も上々である。やはり一人になって好きなように動ける時間がたまには必要だと感じた。またいつか、どこかへ行ってみよう。もちろん、また電車に乗って。


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